下記の記事がおもしろかった。おもしろかったんだけど、ちょっと疑問がある。

値引き条件などというものは、ビジネス上の都合により変更されやすいものです。このケースのように注文数量だけで値引き可否が決まるというケースもあるかもしれませんが、発注金額も考慮し、あるいは発注者が上得意かどうかも判断要素に含める、というように変更されるかもしれません。一方で、注文数量・金額・発注者が誰かなども含む受注内容に応じて値引き可否が決まる、という点はたぶん変わらないだろうと考えられます。

PHP Mentors -> 「現場で役立つシステム設計の原則」批判 (1) 〜何のために、「データとロジックを一体に」するのか?〜

うーん。「たぶん変わらないだろう」という楽観にもとづいている点で、批判対象の設計と同じ穴の狢のように見えるんだよなあ。

たとえば、「前回の発注に製品Aが含まれ、かつ、今回の発注に製品Bが含まれる場合、値引き可とする」という条件が追加される可能性だってあるだろうし。


かくいうぼくは、「値引きは数量のみに基づいて行われる」というビジネス要件だったら、まず下記のように書く。要件が変わったら、設計を見直す。起こるかどうか分からないことを考えるより、さくっと書いてリリースするのが、ビジネス的にもメンタル的にも吉なのでは。

class DiscountJudge
  def initialize(discount_criteria)
    @discount_criteria = discount_criteria
  end

  def discountable?(quantity)
    quantity >= @discount_criteria
  end
end

class AmountCalculator
  def initialize(discount_rate)
    @discount_rate = discount_rate
  end

  def discount(unit_price, quantity)
    unit_price * quantity * (1 - @discount_rate)
  end

  def amount(discount_judge, unit_price, quantity)
    if discount_judge.discountable?(quantity)
      self.discount(unit_price, quantity)
    else
      unit_price * quantity
    end
  end
end

discount_criteria = 5
discount_judge = DiscountJudge.new(discount_criteria)

discount_rate = 0.2
amount_calculator = AmountCalculator.new(discount_rate)

unit_price = 100
quantity = 6
amount_calculator.amount(discount_judge, unit_price, quantity)